相続の意味
更新日:2015.8.12相続は、穏やかだった家族関係に突然法律が入り込んでくる、ある意味で避けては通れない法律問題です。だからこそ、トラブルを未然に防ぐ対策が重要になってくるのですが、ことはそう簡単ではありません。
相続人の間で遺産分割協議が整わない例としてよく見られるのは、きょうだいのひとりが親の面倒や介護を一手に引き受けていて、ほかのきょうだいは親の日常生活にあまり関与していないケースです。
こういった状況で親が亡くなったとき、親の面倒を見ていた子どもは、面倒を全然みなかったほかのきょうだいが自分と同じだけ遺産をもらおうとするなんてけしからん、と考えます。一方で、親から離れていた子どもの立場からみると、親の財産状況についてまったく情報がないことが多いため、親の財産が不自然に減っていたときに、親の面倒を見ていたきょうだいが親の財産を不当に使い込んでしまったのではないか、という疑いをどうしても持ってしまうのです。
本来、自分の財産をどう使うか、自分が死んだ後に誰にどれくらい相続させるかといったことは、その人の自由であるはずです。まして、自分が死んだ後に、自分の財産が原因で子どもたちの間で無用の争いが起こることを望む親はいないと思います。
私は、ご自身にある程度の相続財産が残ることがわかっている場合には、元気なうちにきちんと遺言書を作って、ご自身の財産をどのように分けるのか、しっかりとした意思表明をすることが必要だと思います。それですべての問題が解決するわけではありませんが、少なくとも、ご自身が亡くなった後に、残された方々に対して気持ちを伝えることはできます。
相続とは、亡くなった方の立場をそのまま引き継ぐことです。普段から、家族で積極的にコミュニケーションをとり、互いの気持ちや生活状況をきちんと把握しておくことが、結果的に、相続トラブルを防ぐ最も効果的な対策になるはずです。お盆に入り、家族が集まるよい機会でもあります。将来のことを、いちどくらい話してみるのはいかがでしょうか。