離婚と親権⑴
更新日:2015.9.1子どもがいる夫婦が離婚する場合、その親権者を必ず決めなくてはならないので、親権者を誰にするかは、離婚のトラブルで最も多く、かつ先鋭化する問題です。
「親権」と表現されますが、子どもに対する親の権利と考えるのはあまり適切ではありません。むしろ、子どもを適切に監護・養育し、健全な育成を促す「親の責務」と考えるべきで、裁判所もそのように考えています。親権者は、子どもに対して非常に大きな責任を持つ立場ですので、軽率に決めるわけにはいきません。
親権が争われる場合に、よく、母親が有利だと言われることがあります。これは、今の日本の社会では、夫が外で働き、妻が家事を担当するケースが比較的多く、結果として、妻のほうが夫よりも育児に携わる時間が長くなるため、敢えて夫婦のどちらかを親権者に指定しなければならなくなったとき、妻が選ばれることが多くなることを根拠にしています。
母親だからという理由だけで裁判所から親権者に指定されやすくなるわけではないので、子どもに対する夫婦の接し方によって、いくらでも結論は変わりうることになります。