賃貸物件の明け渡し⑴
更新日:2015.9.14離婚、相続だけでなく、賃貸物件の明け渡しを求める事件なども多く取り扱っています。
賃貸借トラブルで最も多いのは、やはり家賃不払い事案です。
家賃は賃貸借の本質をなす部分のひとつですので、その不履行は当然ながら賃貸借契約の解除の理由のひとつになります。
ところで、賃貸借契約書には、「1か月でも家賃を滞納したらすぐに契約を解除します」というような条項が入っていることがありますが、裁判の実務上は、よっぽどの理由がない限り、1か月程度の滞納ではなかなか契約の解除は認めてもらえません。1か月の滞納でも立派な債務不履行なのですが、賃貸借契約は長期間の継続が予定されているので、当事者間の信頼関係が破綻したと言えない限り契約の解除は認めないとするのが判例の立場です(「信頼関係破壊の法理」と呼ばれます)。
では、どのくらいの滞納があれば信頼関係が破壊されたと言えるのか、ということになりますが、おおむね3か月程度が一応のめどとされています。逆を言うと、借主の立場としては、何か理由がない限り、3か月以上家賃を滞納すれば、出て行くように言われても仕方がないということです。6か月程度滞納があれば、普通は契約の解除が認められるでしょう。
実際、家賃不払い事案の場合、契約の解除そのものについて問題になるケースはあまりないように思います。実務上の難問はその先にあるのですが、それはまた日を改めて書きたいと思います。