弁護士 斉藤耕平

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賃貸物件の明け渡し⑵

更新日:2015.10.2

投稿が中途になっていたものの続きです。

 

建物の明け渡しを認める判決がなされても、それがどのように現実化されるかは、当事者にとって頭の痛い問題です。

 

貸主の立場からみると、判決が出ても自動的に明け渡しが済むわけではないので、明け渡しを実現するためには強制執行の手続きを進めることになりますが、ことはそう簡単ではありません。

強制執行をするためには、執行官との打ち合わせを前提に、専門の業者に依頼して、作業員や運搬用のトラック、運び出した物の保管場所等の手配をする必要がありますが、マンション1部屋程度の規模でおおむね70万円から100万円程度の費用がかかります。運び出す物が多いなどの特別な事情があれば、それ以上かかることもあるでしょう。その費用は、事実上貸主が負担しなければなりません。基本的には、強制執行手続きによらずに何とか出て行ってもらう方法をとりたいところです。

 

しかしながら、借主側では、出て行きたくてもすぐに転居先が見つからないとか、転居費用が捻出できないといった事情があることがほとんどです。

 

こういった事情のもとでどのように建物を明け渡してもらうかは、本当に悩みどころです。場合によっては、強制執行ではなく、貸主が借主に転居費用相当額を支払う代わりに、借主が期限までに自発的に退去することを約束する方法をとることも考えられます(強制執行よりも支出を抑えられることが多いため)。

 

いかに負担を小さくして解決するか、常に考えさせる事案だと思います。


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